きっかけは何だったか、何かをWeb検索したときに現れた一つの写真だった。緩やかな丘陵地帯にひろがる雪原と木立。とても雰囲気の良い、テレマークスキー向きの斜面。一目で『ここに行きたい!』と思わせる風景だった。写真を頼りに調べていくと、その山は何と西日本にあるという。もうそれだけで十分だった。東京に住んでいると、特に雪山を趣味とする者にとっては西日本というのはとても縁遠い。それだけに、訪れたいという気持ちが強くなった。

御池岳。正直なところ知らない山の名前だった。もちろん鈴鹿山脈は知っていたし、近くの藤原岳という名も、そこで山スキーが出来るらしいということも聞いて知っていた。しかし、その近くにこんな天国のような斜面を湛える山があるとは。ヤマレコなどを調べると雪山登山の対象としては有名なようだが、意外にも滑走対象にはあまりなっていない。これは面白そうだと思った。

さらに、具体的に山行計画を練るにつれ、自分好みのプランが立てられそうなことがわかった。やりたいことは3つ。

  1. 通り抜けのルート
  2. 山泊し、周辺を滑る
  3. 鉄道の旅

ルートを考える際、対象の山へ行って戻ってくるだけでは物足りない。その山を越えて反対側に降りる。そんな移動を伴うルートが好きだ。鈴鹿山脈は三重と滋賀を分ける山脈なので、三重側から登り、滋賀側に降りることを考える。三重側からのアプローチは藤原岳と決めた。藤原岳でもスキーが出来ることに加え、山小屋があり、1日目の宿泊地に好都合だったからだ。具体的なプランは以下の通り。往路・復路は自ずと鉄道の旅となる。

1日目:新幹線~近鉄~三岐鉄道で西藤原駅へ。そこから徒歩で藤原岳。藤原山荘泊。

2日目:藤原山荘~御池岳~テーブルランド泊(テント泊)。

3日目:テーブルランド~鈴ヶ岳~大君ヶ畑集落~バス~近江鉄道~新幹線

よしよし、準備は整った。時期は雪の良さそうな2月と決め、天気のタイミングを待った。

(つづく)

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